保育士から園長に、走り続けた一年

新園舎の鍵を受け取った時、ずっしりと重さを感じました。
 私が24年間保育士として勤務した保育園が新園を設置することになり、その園の園長を仰せつかりました。ちょうど改訂になった保育所保育指針も読み込むこともしました。購入をしてもしても足りない物品が多く必死にみんなで準備をして入園式を迎えることができました。新入園児は0歳児12名、1歳児14名、2歳児20名、3歳児15名、4歳児10名、5歳児1名、計72名全員が慣らし保育という経験は忘れられません。職員たちが優しく温かく子どもと接する姿をみて「よし!やっていける」と思った瞬間でした。やる事は山のようにありましたが『出来る事から一つずつみんなでやっていこう』が合言葉でした。そして、日々の保育を大切にしよう、行事は保育の延長上に位置づけたいと思いました。
 運動会は近隣小学校の体育館で行いました。園の多目的保育室(ホール)で運動会ごっこを2回行い、3回目が運動会本番です。1回目で各クラスの内容把握、2回目で職員の動きの確認です。子ども達は運動会ごっこがとても楽しそうで「また運動会やろうね」の声もあり職員も嬉しそうでした。運動会を長い期間楽しめたように思います。運動会をきっかけに0歳児クラスがおこなった親子ダンスが、1歳児クラスのブームになりました。曲がかかるとお人形をとりにいき、抱っこしているお人形の名前を呼ぶと高くあげて返事をします。自分の名前では返事はしないのに、小さなママになりきっている微笑ましい姿でした。
 卒園式。初年度のため4月は年長児が一人でしたが少しずつ増えました、でも5人しかいませんでした。そこで卒園児主役の式を考えました。一人ひとりの好きな事を披露、あやとり・コマ回し・ボール投げ・フラフープなど、緊張した表情の中にも達成感ある笑顔が印象的でした。
 卒園児と高尾山も登りました。途中でもう歩けないよという表情にもなりましたが、一緒にすごした一年を思い出し感慨深い思いでした。
 保育園は切れ間がないまま年度末から年度初めに入ってしまうので大変ですが、みんなで1年やってきた手応えを感じました。でも慣れたことで、声かけや働きかけの大切さなどを忘れないように定期的にみんなでふりかえろうと気持ちを引き締めました。
 私は園長ではありますが、保育者として子どもと一緒に活動する時間も持ちたいと体操あそびを週に一度担当し、いろいろ試行錯誤しています。幼少年体育指導士会の認定講座や勉強会に参加して学んでことに留意しながら実践を積み重ねていくつもりです。ちょっとした子どもの反応を見逃さないように、年齢にあわせた今より少し難しいチャレンジを考えていきたいと思います。
 2年目となる今年度の課題は環境を整える事と地域とのつながりです。出来る事から一つずつやっていこうと思います。子ども・保護者・地域・職員 みんなの笑顔がある保育園を目指して今年度も走ります。
 

社会福祉法人清心福祉会 わらべふじ森保育園(八王子市)
園長 石政文月(2017年受講)