子どもの魅力に惹かれて

私は河合楽器製作所 カワイ体育教室で体育指導に携わって十数年になります。河合楽器というとピアノ・音楽を想像しますが、健康をテーマに子どもから大人までを対象に、健康の増進と体力向上の場を提供することにより、明るい社会づくりに貢献することを目的として全国展開をし、活動しています。
 
カワイ体育教室では、発育発達に合った運動あそびの提供を通して、自ら進んで運動しようとする運動好きな子どもを育てることを目標に活動しています。子どもが笑顔いっぱいで楽しいと思える体験こそが、多くのものを吸収し、心と体の成長につながっていくと思います。ですから、子ども達が「楽しいな、もっとやりたい」と思えるような働きかけを常に考えています。日々変化する子ども達の様子や発育発達を、きめ細かく観察し、活動内容や方法を工夫しています。教室活動が子ども達にとって楽しいあそびとして深まっていくように、また、運動を通して、最後まであきらめないでやり抜く力や人を思いやる気持ちや協調性を育む指導を心掛けています。
 
~運動あそびの与え方~
例えば、幼稚園の年少児にいきなり、なわの前とびをさせても、なわを上手にまわしたり、タイミングよくとぶといった動きもままならないでしょう。それよりもなわで車や電車を作ってお引越しあそびをしたり、へびさんのようになわをニョロニョロと動かしたり。そのような運動あそびによって、なわに慣れるとともに、なわの操作の仕方も徐々に上手くなっていきます。ボールあそびにしても、ボールを好きな動物に変身させてお散歩をしたり、ボール花火を打ち上げてみたり、そのうち扱い方が上手になってきたりします。身のまわりのものをいろいろなものに変身させることで、子ども達の想像がふくらみ、楽しく取り組めるよう活動の計画を立てています。
 
~教室活動の現場において~
初めの頃は、子どもの言葉や行動に「どうして?」と戸惑うことが多かったですね。こちらの思いがうまく伝わらなかったり、計画通りに進まなかったり、反省だらけの毎日でした。子どもは個性にあふれていて、その子なりの体の動かし方や物の見方、感じ方をするので、まずは子どもの目線になって物事を考えることを大切にしました。
子どもはこういうものだと理屈で理解していても、実際に関わるとなると簡単なようで難しい。高齢者の運動指導にも携わっていますが、そこでは言葉で説明すれば理解してもらえる内容でも、子どもの場合、年齢によっては言葉で説明するよりも実際に動きの見本を見せて真似してもらうことの方が早いといったケースが多々あります。見て、やってみて、触ってみて、感じ取る、まさに「体験」から学んでいると感じます。
今では、日々子ども達の笑顔とパワーに元気づけられ、やりがいを感じています。10年以上この仕事に携わっていますが、取り組めば取り組むほど奥が深く、今でもこの奥深さに惹かれています。
 

 
河合楽器製作所 カワイ体育教室
渥美健人 (2018年8月受講)