視力とその伸ばし方を教えてください

Q 私達は、どうやって見えるようになるのですか。
A 誕生直後の赤ちゃんは、生理的弱視の状態から触覚/嗅覚/聴覚等を頼りに“見ること”に慣れ、“平面視力→(+距離)立体視力→(+速度)動体視力”、稀に“(+回転)瞬間視力”も獲得します。視力とは“様々な事象を見る体験”をとおして育つ機能です。
 
Q 立体視力ってなんですか。
A 私達は両眼で物を見ることで距離の見積もりが可能となります。幼少期からの長時間画面(平面)視聴の機会が増え、立体視力未獲得が危惧される昨今、私は保育者養成校の授業の一環として立体視力測定を実施しています。簡便方として、被検者は色ガラス(赤/緑)が左右に入った眼鏡をかけ、度数に強弱をつけたマークを読みとります。未獲得者について、1993年では17%(100名測定)だったものが、25年を経た2017年には22.5%(130名測定)となりました。初体験の結果に感想は悲喜こもごも。容易く全て回答できる者もいれば、全く見えずに愕然とする者もいて、自身の生活を振り返る機会にもなります。因みに、立体視力の獲得により正確な立体イメージもできるようになるといわれています。
 
Q 大人の役割ってなんでしょう。
A 第一に視力検査を充分に活用し、保護者に対し説明や協力要請(必要に応じ矯正治療)を行い、乳幼児期から単眼の視力保障に努める。第二に子ども期には、プレイルームや戸外の広々とした活動の場を保障し、時には声掛けによって意識的に近距離⇔遠距離の物を見て、その距離を身体全体で実感し(歩走/跳/投/蹴を含むあそび、鬼ごっこ、距離測定、イメージやクイズ)、視覚情報が身体全体で有効に働く力を養う。折しも秋、時に皆で空を見上げておしゃべりし、宇宙への想いを馳せるなど、意識的に視覚を使ってみませんか。
 

(回答者)
和泉短期大学 井狩芳子

 
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