証拠(事実)が人を動かし、人々をつなげる!

 子どもの「元気」が心配されています。いうまでもなく、子どもの「元気」を育むためには、園・学校、家庭、地域が手を組む必要があります。ただ現実は、貧困・格差、さらには人間らしい労働条件の整備ということが、私たちの社会に突きつけられている大きな課題であることも確かです。そのような中では、園・学校、家庭、地域の間に溝ができ、思うように手を組むことができないこともあります。
 例えば、教師同士は「こんな子いるよね」、「最近、増えてきたかもね」というように“実感”だけで理解し合えることでも、保護者や地域の方々にはなかなか伝わらない、ピンとこないこともあるでしょう。でもそこに、子どもの「元気」を心配させるような“証拠(事実)”がかざされたらどうでしょうか。その“証拠”は、揺るぎようのない子どもの現実を映し出すことになります。さらにその“証拠”は、立場の違いによりできてしまった溝のあちらからも、こちらからも確認することができます。
 子どものことを思わないおとなはいません。少なくとも、そう思いたいです。子どもの「元気」を心配させるような“証拠”がみえてしまえば、議論が巻き起こるでしょう。議論になれば、溝の向こう側の事情もみえてきます。事情がみえてくれば、手を組んで協働することもできるのではないでしょうか。つまり、「“証拠(事実)”が人を動かし、人々をつなげる」ことになると思うのです。
 現在、当会では、幼少年体育指導士認定講座の内容を『幼少年体育・運動指導テキスト(案)』(2018年6月発行予定)にまとめる作業にも取り組んでいます。子どもの「元気」を育むための“証拠”になること間違いなしです。どうぞ、ご期待ください。
 

日本体育大学教授 野井真吾