砂場の水

 水を使って遊ぶと気持ちの良い季節です。顔に水がかかるのを嫌がる子だって、砂場の水は大好きだったりします。ジャブジャブしたい、泥んこになってもビチャビチャしていたい子ども達に水を大切にする気持ちも育てたいと、長年葛藤し続けていました。
 3.11を境に、資源の大切さをきちんと子ども達に伝えなくてはという思いが強くなり、砂場での水の使い方について、職員で何日も話し合いをしました。そして、水道の蛇口から子どもが直接バケツなどに水を汲んで使うのではなくて、ペットボトルに入れた水を使わせる方法にたどり着きました。
 
・季節や天候に合わせて、ペットボトルの本数を加減する(たとえば、暖かい日は10本、暑い日は20本、寒い時はゼロ)
・まず年長組に説明し、彼らだけに砂場でペットボトル水を使う体験をさせる
・年下の子ども達には年長さんに使い方を教えてもらう
・2ℓの空ペットボトルは保護者に提供をお願いする
 
 4月、年長組だけの日を選んで水入りペットボトルを砂場に準備。すると、「そんなに使っちゃうと、すぐに無くなっちゃうよ」「砂を固めたいから、少し水を入れて」「大きな穴ができたから、たくさん水を入れようよ」と、話し合いながら上手に水を使います。流石、年長さん。
 1週間後、年下の組の子ども達が合流すると…彼らなりに一所懸命に教えてあげてはいたのですが…「あ~あ 全部使っちゃった」「ちゃんと考えて使わなくちゃダメなんだよ」残念でした。でも、2~3日後には皆すっかり慣れて、限りある水を上手に使って砂場の遊びを楽しんでいます。ペットボトルに水を入れる作業をしたいと、年長組の有志が毎朝ボトルに水を汲むことにもなりました。
 「水が無くなったから、おしまい(室内に戻ろう)」熱中症予防にも役立ちそうです。
 

元 大泉双葉幼稚園 園長 永井正子