「遊びのコツ」伝授

 子どもは遊び込むことによってその遊びが持つ本質的な楽しさを味わうことができます。昭和世代の子どもたちは放課後に近所の子ども達と群れ遊びに没頭していたため、遊びの本質に魅了され、夢中になって体を動かしていました。しかし、現代では遊ぶ時間や友達も少なく、遊びの真髄を経験できなくなっています。
 そんな時代だからこそ、周りの大人が遊びのコツを伝授し、遊びそのものの持つ楽しさを経験させてあげることが大切です。例えば、鬼ごっこの場合、鬼の子が一人の子だけを追っかけるのではなく、周りも見渡しながら突然方向転換し別の子にタッチするような“不意打”や。ドッジボールの場合、真っすぐ投げると見せかけて、斜め横の子に当てる“横目”がコツの一つです。遊び込めば皆が分かることですが、今の子には大人のサポート(近道)が必要です。
 何はともあれ、多くの子ども達に遊びの楽しさを体験させることが重要です。なぜなら、諸科学の研究によって、仲間と群れながら運動遊びを行うことは、子どもの体だけでなく、心、社会性、認知機能も健全に育むことが明らかになっています。外遊びこそが幼少期にとって最も大切な勉強なのです。
 

岐阜大学教授 春日晃章