「伝承あそび」は子どもの発達を促す栄養源

 伝承遊びは、子どもにとって楽しい要素だけが取捨選択されて、子どもから子どもへと伝えられてきた遊び文化といえる。この遊びの楽しさの体験は子どもの行動意欲を育て、同年齢・異年齢集団において楽しさの感情を共有し、それが友情を育む栄養源となる。
 伝承遊びは、身体情報処理の観点から身体操作的遊び、道具操作的遊び、集団的遊びに分類することができる。例えば「竹馬」遊びは、自己の身体操作性として大切な筋感覚、平衡感覚、空間認識などの身体内部の情報処理能力を発達させる。「コマ」や「お手玉」遊びは、道具の操作性機能の特徴である眼と手・脚の協応能およびスポーツビジョンといわれる動体視力や瞬間視、周辺視機能などを発達させることができる。「鬼ごっこ」の様な集団遊びは攻防の対応関係、予測や状況判断などの外部情報処理能力の発達を促す。まさに、伝承遊びは子どもの知恵としなやかな心身を育てる「宝物」といえる。
 

愛知みずほ大学短期大学部 特任教授 穐丸武臣